当メディアは店舗数0〜20の成長期フランチャイズ本部だけを掲載し、加盟金やロイヤリティを公式サイトの条件で比較できるようにしています。ただ、運営者として最初に言っておきたいことがあります。初期の本部を選ぶなら、条件を見比べる前に、その本部の理念に自分が共感できるかを確かめてください。 条件は表で比べられますが、加盟後に効いてくるのはそこではないからです。
この記事は、フランチャイズ本部の現場に実働で入っている運営者(本多)の考えをまとめたものです。掲載本部の公式情報を並べる他の記事と違い、ここに書くのは運営者自身の経験に基づく意見です。
初期の本部では、トラブルが「必ず」起きる
店舗数が一桁〜20の本部は、仕組みがまだ完成していません。これは本部の良し悪しではなく、フェーズの問題です。運営者が現場で繰り返し見てきたトラブルは、大きく3つです。
- マニュアルがまだ薄い。 大手のように「この通りにやれば回る」分厚い手順書はありません。店ごとにやり方がずれ、加盟店が「聞いていない」と感じる場面が出ます。
- 本部と加盟店のあいだで、決まっていないルールがある。 販促の費用負担、近隣への出店、SNSの運用、備品の仕入れ先——最初の数店舗では想定していなかった論点が、加盟店が増えるたびに出てきます。
- 売上が計画に届かない。 立地・時期・オーナーの動き方で、公式サイトの収益モデル通りにはいきません。初期の本部ほど、モデルの元になったサンプル数が少ないためブレが大きくなります。
大手の本部なら、これらは過去に潰されています。初期の本部に加盟するということは、この3つに出会う前提で組むということです。
分かれ目は「そのとき、同じ方向を向いていられるか」
トラブルそのものは避けられません。分かれるのは、起きたときの動き方です。
運営者が見てきた範囲で、理念に共感して加盟した人と、条件や収益だけを見て加盟した人では、同じトラブルへの反応がはっきり違いました。
共感していない人の反応は、まず「想定していたことと違う」です。 そこで止まり、問題解決に向かおうとしません。本部が未完成であることを「約束と違う」と受け取るので、話し合いの土台が「どう直すか」ではなく「誰の責任か」になります。
もう1つ、見過ごされがちな崩れ方があります。共感のない加盟者が、独自にいろいろとやり出すケースです。それ自体は行動力があって悪くないように見えます。実際に問題を解決してしまうこともあります。ところがその後、「このノウハウは本部のものではなく自分のものだ。使いたいなら買い取れ」と言ってくる。本部にとっては、加盟店が本部の看板の下で作ったものを、本部が買い戻す形になります。理念を共有していないと、本部と加盟店は「同じチェーンを一緒に作っている」関係ではなく、「取引相手」になってしまう。これが初期の本部にとって、いちばん重い形の崩れ方です。
理念に共感している人は、同じ場面で「まだ決まっていないなら、一緒に決めよう」という側に立ちます。マニュアルの薄さも、決まっていないルールも、計画未達も、同じ方向を向いている人同士なら「直す対象」になる。 向いている方向が違うと「争う材料」になる。初期の本部が理念に共感した人を集めるのは、きれいごとではなく、この違いを最初から作っておくためです。
初期の本部だからこそ、理念が「条件」より重い理由
大手のフランチャイズなら、理念に共感していなくても仕組みが加盟店を支えます。マニュアルもSVも研修も揃っているので、決められた通りにやれば一定の結果が出る。理念は「あればなお良い」程度の位置づけで済みます。
初期の本部にはその仕組みがありません。仕組みの代わりに、本部と加盟店の関係そのものが仕組みです。 その関係を支えるのが理念への共感で、これがないと、上に書いたトラブルのたびに関係が削れていきます。
だから、店舗数0〜20の本部を検討するときは、順番を逆にしてください。
- その本部が何を実現しようとしているか(理念)を聞く
- それに自分が本気で乗れるかを考える
- 乗れると思ったら、そこで初めて加盟金・ロイヤリティ・開業資金を確認する
条件が良くても理念に乗れない本部は、初期フェーズでは選ばないほうがいい。逆に、理念に乗れる本部なら、条件の多少の不利は「一緒に決めていく」中で調整できる余地があります。
説明会・面談で、理念が本物かを見抜く質問
「理念」を掲げていない本部はほぼありません。問題は、それが判断の基準として機能しているか、それとも募集ページの飾りかです。運営者の経験から、面談で次の質問をすると見分けがつきやすくなります。
- 「その理念に反する加盟希望者が来たら、断りますか」——本気の本部は具体的に「こういう人は断った」という話ができます。
- 「まだ決まっていないルールは何ですか」——初期の本部が「全部決まっています」と答えたら、逆に警戒してください。決まっていないことを正直に言い、「一緒に決めたい」と言える本部のほうが信用できます。
- 「加盟店が独自に工夫したノウハウは、誰のものになりますか」——契約書に書いていないなら、その場で本部の考えを聞いてください。ここが曖昧な本部は、あとで揉めます。
- 「売上が計画に届かなかった加盟店に、これまで何をしましたか」——初期の本部でも、計画未達の店は必ずあります。その実例を語れるかどうかです。
これらは説明会・面談で聞くべき15の質問の中でも、初期の本部に特に効く質問です。
まとめ
- 店舗数0〜20の本部では、マニュアルの薄さ・未整備のルール・計画未達のトラブルが必ず起きる。これは本部の良し悪しではなくフェーズの問題
- 分かれ目はトラブルの有無ではなく、そのとき本部と同じ方向を向けるか。理念に共感していない加盟は「想定と違う」で止まり、独自ノウハウの買い取り要求のような形で本部との関係が「取引」に変わる
- 初期の本部では、仕組みの代わりに本部と加盟店の関係が仕組みそのもの。だから条件より先に理念で選ぶ
- 面談では「反する人を断るか」「決まっていないルールは何か」「加盟店のノウハウは誰のものか」「計画未達の店に何をしたか」を聞く
条件の比較は、理念に乗れると決めたあとで。当メディアの業種別の比較表は、そのために使ってください。