順調に営業していた店の近くに、ある日同じチェーンの新店ができて売上が2割落ちる——テリトリー制を確認せずに加盟すると、こうした事態を防ぐ手段がありません。この記事では、テリトリー制の仕組みと契約時の確認ポイントを解説します。
テリトリー制とは
テリトリー制とは、加盟店ごとに営業地域を設定し、その地域内での本部直営店・他加盟店の出店を制限する仕組みです。大きく2つに分かれます。
| 方式 | 内容 | 加盟者への影響 |
|---|---|---|
| クローズドテリトリー | 指定地域内への追加出店を禁止 | 商圏が守られる。安心して販促投資できる |
| オープンテリトリー | 出店制限なし | 本部は市場を最大化できるが、加盟店同士の競合リスクあり |
このほか「優先出店権(新規出店時に既存加盟店へ先に打診する)」という中間的な設計もあります。
テリトリー保護がないと何が起きるか
- 自店の商圏に後発店ができ、売上が分散する
- 自分が育てた地域の認知・顧客基盤に、後発店がタダ乗りする
- ドミナント戦略(地域集中出店)を本部が採る場合、加盟店単店の売上よりチェーン全体の売上が優先される
コンビニ業界で社会問題化した近隣出店問題は、この構造から生まれています。
契約書で確認すべき4点
- テリトリーの有無と地理的範囲:「半径◯km」「◯町・◯丁目」など具体的な定義があるか。「原則として配慮する」のような努力義務表現は保護になりません
- 直営店も対象か:他加盟店の出店は制限しても、直営店は除外する条文があります
- 例外条件:商業施設内・駅ナカなどを例外とする定めが多い。自分の商圏にその「例外」が生まれ得るかを考える
- 中食・デリバリーの扱い:店舗の出店制限はあっても、デリバリー圏の重複は制限外というケースが増えています
成長期フランチャイズならではの視点
店舗数0〜20の本部は、まだ地図が白紙に近い状態です。これは加盟検討者にとって2つの意味を持ちます。
- 好機:良い商圏を先に押さえられる。広めのテリトリーを交渉できる余地もある
- リスク:本部側のテリトリー運用実績が少なく、将来の拡大方針次第で状況が変わる
だからこそ、口頭の「この辺りには当分出しませんよ」ではなく、契約書上の条文として残すことが重要です。成長期の本部は個別交渉に応じる柔軟性があることが多く、テリトリー条件は交渉価値の高い項目です。
公正取引委員会のガイドラインについて
フランチャイズ・ガイドラインでは、テリトリー権の有無・内容は加盟希望者への十分な開示が求められる重要事項とされています。曖昧な説明しかない場合は、書面での明示を求めてください。
まとめ
- テリトリー制はクローズド/オープン/優先出店権の3類型
- 「配慮する」は保護ではない。地理的範囲が条文で定義されているかを見る
- 成長期FCではテリトリーは交渉可能性のある項目。口約束を契約書に落とすこと
新興フランチャイズナビの面談では、検討ブランドのテリトリー設計についてもご説明しています。